ごあいさつ

技と知の融合 ~さらなる進化を目指して~

世界で初めてPTCAが施行されて間もなく半世紀が経とうとしています。年月は足早に過ぎたように感じますが、振り返ると我々は1歩1歩着実に歴史を刻んできました。POBA時代、BMS時代を経て、2000年代にはDESが登場し、PCI治療は成熟期を迎えました。その時代ごとに直面する課題に我々は技術を磨き、新たな知恵を習得して立ち向ってきました。この“技”と“知”の共有という観点では、ライブデモンストレーションコースが重要な役割を担ってきたことは誰もが疑う余地はありません。この結果が今に活かされ、PCI後の再狭窄および再血行再建は劇的に減少しました。しかし、日本は超高齢化社会を迎え、併存疾患を多数抱える患者が増加し、PCI患者のおよそ4割がhigh bleeding risk(HBR)と推定されるなど、今も多くの課題と向き合っています。

豊橋ライブデモンストレーションコースは、2011年10月の第1回より、ライブコースの果たすべき役割の原点に戻り“次世代を担う術者に対し、「教育(共育)」を主眼においたライブコースを提供する”ことを理念に掲げて開催してまいりました。そして今日まで一貫して、技術と経験、知識の共育に重点を置き、とりわけこれらの要素が求められる慢性完全閉塞病変・分岐部病変・石灰化病変への治療について、病変別にコースを設けそれぞれの病変特有の難題に対して培った技術と知識と経験を共有してきました。また、カテーテルインターベンショニストの新たな役割として大動脈弁狭窄症へのカテーテル治療が可能になったことを受け、第2回より国内初となるTAVIコースを設け、今日では僧帽弁閉鎖不全症や左心耳閉鎖術も含めたSHDコースへと拡大してまいりました。さらに、長期予後改善コースやEVTコース、OMTコースなどを充実させ、開業医、また、脳心連携として他診療科も交え、豊橋ライブは独自の進化を続けてまいりました。

イメージングモダリティー等のテクノロジーの発展、新たなデバルキングデバイスなどの登場と進化、カテーテル細径化による低侵襲化により、患者の負担はより軽く、高い手技成功率が得られるようになりました。PCI領域では治療技術と臨床成績は標準化されたと言えます。そして、次に循環器内科医として末梢血管疾患、弁膜症、不整脈など全ての循環器疾患を診療し治療する力が求められる時代になりました。これまで我々は、“技”の継承を目的として豊橋ライブの企画を構成してまいりましたが、これからは、“技”と共に“知”を深化させるコースへと舵を切り、循環器内科医としての総合力、すなわち、「臨床力」までも身に着けられるコースを目指します。

第14回となる2024年のテーマを「技と知の融合 ~さらなる進化を目指して~」といたしました。循環器疾患の包括的な“共育”プログラムで “技”と“知”を皆様とともに追求していきたいと思います。ライブコースでは日本が誇るトップオペレーターが術者を務め、意義あるメッセージを皆様にお伝えする予定です。昨年より新たに加わった不整脈コース、さらに他診療科とのコラボセッションについても精査し、充実したプログラムをお届けできるよう鋭意準備してまいります。さらに進化した豊橋ライブをご期待下さい。2024年6月25日から29日の5日間にわたり、全国どちらからでもご参加いただけるオンラインにてお会いできることを楽しみにしております。