経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が初めて実施されてから、既に40年以上が経過しました。その間の技術革新は目覚ましく、デバイス、術者のテクニックとも成熟し、複雑病変もPCIにより治療できるようになりました。2000年代前半の薬剤溶出性ステント(DES)の登場以来、残された課題病変として挙げられてきた分岐部、石灰化、慢性完全閉塞病変も、それらの専門領域に精通したマスターオペレーターらの絶え間ない努力の甲斐あって、解決しつつあります。そのような課題病変については待機的な状況下での治療であり、主治医自らが治療せずとも、それら病変の治療を得意とする術者に任せることが患者にとってより良い結果をもたらすことは言うまでもありません。
PCI治療は確立し、我々を取り巻く環境は厳しくなりました。診断学、治療学が発達した昨今では、複雑な冠動脈狭窄や病変形態に対し、一か八かの成功を追い求め治療することは許されない時代です。このような時代に我々に求められるのは、カテーテルインターベンショニストよりもカーディオロジスト、すなわち、循環器内科医として総合的に患者の全身を診られる医師です。
豊橋ライブに参加されてきた皆様は、カテーテルインターベンショニストとして一定の経験を積まれており、知識や技術をライブを通じて我々と共に育んでこられました。豊橋ライブでは、それを「共育」と呼び、この5年間のテーマとして強調してきました。そして、互いに学び高めあった今、豊橋ライブは次のステージへ舵を切ることになりました。
第13回豊橋ライブデモンストレーションコースは、テーマを「Master of Cardiology~原点への立ち返り~」とし、虚血領域のカテーテル治療を中心としたライブコースから、循環器領域における包括的なカテーテル治療を「共育」する場へと変革し、これまでのPCI、末梢血管インターベンション、構造的心疾患に加えて、不整脈や腹部大動脈瘤へのカテーテル治療までも含めたコースといたします。循環器内科医として、あらゆる循環器疾患に対し適切な治療が行える、あるいは適切な医療機関へと導くことができる目を養っていただくコースを目指します。虚血領域のカテーテル技術やデバイスは確立しましたが、その他のカテーテル領域ではいまだ発展途上です。これまで我々が培った技術や経験を、他の領域にも共有していくことで融合反応が起こり、より質の高い循環器医療ができることになるでしょう。
昨今では循環器内科医を志す若い医師が減っています。我々はこの新しく生まれ変わる豊橋ライブから循環器の真の醍醐味を発信し、循環器内科医であることを誇りに思える若い医師が増えるコースにしたいと考えております。2023年6月に再びウエブでお会いできることを楽しみにしております。共に次のステージへと進んでいきましょう。