ごあいさつ
第16回豊橋ライブ ごあいさつ 循環器治療のNext Horizon ~革新と展望~
循環器治療は、過去数十年にわたり目覚ましい進化を遂げ、カテーテルを用いた治療が中心的役割を担ってきました。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)においては、薬剤性溶出ステント(DES)の登場や手技の高度化により再狭窄リスクが大幅に低下し、至適薬物療法(OMT)や運動療法の発展と相まって、患者の長期予後は飛躍的に改善しています。慢性完全閉塞(CTO)病変や分岐部病変に対しても、最新のデバイスとテクニックにより、安全かつ効果的な治療が可能となり、治療の幅はさらに広がっています。
末梢血管治療(EVT)、構造的心疾患(SHD)、不整脈治療、心不全管理といった循環器全領域でも、新技術・新薬剤の登場により治療選択肢が拡充し、患者に対する最適なアプローチが可能となっています。こうした進化のなかで、我々が追求すべきは「技の研鑽」と「知の深化」の両輪であり、循環器医療の質をさらに高めることです。豊橋ライブデモンストレーションコースは、2011年の第1回開催以来、“次世代を担う術者に対し、教育(共育)を主眼においたライブコースの提供”を理念に掲げ、技術と経験、知識の共育に重点を置いて発展してきました。PCIだけでなく、TAVIやM-TEER、左心耳閉鎖術を含むSHD、EVT、不整脈、OMTコースなど、多職種連携と他診療科とのコラボレーションも進め、総合的な循環器診療力を身につけられるプログラムを提供してきました。
昨年の豊橋ライブでは、全国から過去最多となる2,400名を超える参加者を迎え、「技と知の融合Ⅱ ~未来への連携と挑戦~」をテーマに、多彩なプログラムを展開しました。PCIライブでは複雑病変に対する最新デバイスやテクニックを取り上げ、ACSセッションやCHIPセッションでは急性期治療から高リスク症例への対応まで幅広く議論が行われました。EVTコースでは最新デバイスとオリジナルテクニックを学ぶセッションが好評を博し、SHDコースでは弁膜症治療の新展開が共有されました。不整脈コースではPFAを中心とした最新アブレーション技術が紹介され、薬物療法コースではCKD・心不全・脂質異常症など日常診療に直結するテーマを4日間にわたり掘り下げました。さらに、メディカルスタッフや多職種向けのセッション、AIや遠隔モニタリングを活用した新しい診療モデルに関する議論も盛り込まれ、参加者に多角的な学びを提供することができました。
我々は単に臨床現場の実際を示すだけでなく、最新のエビデンスと国際的なガイドライン改訂の要点を踏まえた議論を展開してきました。心不全領域ではARNIやSGLT2阻害薬を含む薬物治療の最前線を、冠動脈領域ではIVUS/OCTを駆使した血管評価の新知見を、末梢血管治療ではDCBやDESなどの大規模試験の結果を取り上げます。また、カテーテルによる低侵襲なSHD治療においても、最新RCTやリアルワールドデータを基に臨床実装の課題と展望を共有します。こうしたエビデンスに裏付けられた内容を取り入れることで、参加者が「明日からの診療」に直結する知識と判断力を獲得できることを目指します。
第16回となる2026年のテーマは、「循環器治療のNext Horizon ~革新と展望~」です。我々は、これまで培ってきた“技”と“知”を土台に、さらに先進的な技術や治療法を学び、臨床現場で即活用できる総合力を養うことを目指します。ここで得られる知識と技術が、患者を救う実践力へ直結することを信じています。豊橋ライブは単なる技術披露の場ではなく、未来の循環器医療を切り拓く革新と展望を共有するプラットフォームとして、皆様の学びを最大化します。循環器治療の新たな地平を共に描き、患者に最適な治療を届けるために、豊橋ライブデモンストレーションコース2026へのご参加を心よりお待ち申し上げます。
